平成21 年 国民の観光旅行の動向と課題に関する分析(概要)
というタイトルで政府から発表された資料の一部を掲載します
○長期的に国民の旅行行動が低下する可能性 <トピックス1より>
・大学生の旅行回数が著しく低下。ライフステージにおいて最も旅行回数が増える「社
会人・結婚前」も近年減少傾向にある。これらの旅行経験の乏しい世代が今後中心
になることにより、国民全体の旅行行動が低下する可能性が考慮される。
○子供時代のよい旅行経験は将来の旅行につながる <トピックス2より>
・「子供時代の旅行体験→子供の頃に良い旅行経験があるとの認識→大人になって
からの旅行回数が増加→子供との旅行回数が増加…」という図式が浮き彫りに 。
○消費者が旅行ととらえている範囲は意外とせまい <トピックス3より>
・旅行の対象として捉える活動について、「温泉に行く」で約7 割、「スキー、ゴルフ」は
約3 割にとどまる 。
・消費者にとって旅行の定義は様々であり、アクティビティ・コンテンツを意識している。
【観光関係者のコメント】
・特に若年層は、旅行に行きたいのではなく行きたい場所があるから動く傾向が強い。お金を出す価値が
あるかどうか、昔よりもシビアになってきている。
・スキー、スノボといったスノーレジャーは、完全にスポーツとしてとらえられており、一般の旅行商品とは売り
方も異なる。
・需要喚起の観点からも、アクティビティ重視が必要。従来の旅行カタログでは、消費者は動かない。
【観光関係者のコメント】
・子供時代の重要性は認識。学校休暇の弾力化、休暇の平準化が必要。
・冬休みが長い北海道では、首都圏の休みが終わったあとに首都圏への大量の旅行需要が生まれる。
休暇分散の好例。
・子供の旅行回数は、親の世帯所得との関連が大きい。
【観光関係者のコメント】
・観光産業の成長戦略において、若年層は重要ターゲット。
・若者の旅行離れは、誰とどういった時間を過ごしたいかというようなライフスタイル分析が必要。
・昔の若者のように、旅に対する憧れが失われている。
【別添1】
○国内旅行と海外旅行は、消費者にとって別のサービス<トピックス4より>
・旅行者の8 割は、国内旅行と海外旅行を別のものと考えており、同列に比較検討し
ていない。旅行経験を積むことにより、比較検討する割合が増加し、特に海外旅行
経験が与える影響が顕著である。
○若年層は旅行に“ゴリヤク”を期待 <トピックス5より>
・「現在の学生」について、「現在の社会人の学生時代」と比較すると、「恋人とドライブ」
が半減する一方で、「留学・語学研修」「知識・教養を高める」が約2倍に増加するな
ど、将来への不安等を背景に、旅行に対しても付加価値(ゴリヤク)を求める傾向。
○女性と男性の旅行傾向には違いが存在<トピックス6より>
・基本的にどの世代でも男性よりも女性の旅行回数水準は高いが、ともに減少傾向に
ある。
・旅行に行くきっかけの比較では、女性はリフレッシュのためが特に多く、男性は趣味
のためが多い。同行者では男性は一人旅、女性は家族・カップルが多い。
○旅行1 回当たり消費額は、仏・米との差は少ない <トピックス7より>
・1回当たりの消費額は、「日本: 7.1万円」、「仏: 7.2万円」、「米: 8.1万円」。
・一方で、「1泊当たり消費額」では、旅行1回当たりの宿泊数の少なさが影響しており、
日本は仏の2倍以上、米の1.3倍。
【観光関係者のコメント】
・団体旅行の場合は、同列で比較検討するケースが多いのではないか。個人旅行よりも海外旅行への抵
抗が減るためか。また、海外旅行の経験者にとっては、国内と海外の差は小さいのではないか。
・国際空港までの距離の影響も大きい。住んでいる地域による調査も重要。
・大半の旅行者は、休暇の長さに影響を受ける。大型連休では海外、3 連休などでは国内を選択。
・代理店の取り扱いにも違いがある。国内はWeb への移行が進んでいるが、海外はまだ窓口中心。
【観光関係者のコメント】
・学生向け体験型旅行も、履歴書に書けるかどうかが選択のポイントになっている。
・旅行が精神面、肉体面に及ぼす効果もある。それもある意味「ゴリヤク」。
【観光関係者のコメント】
・男女の違いについては、過去の調査でも同様の結果がでており、納得できる。
・同行者の違いは、海外旅行になると女性の一人旅が男性とほぼ同じになるなど、傾向が変わってくる。
【観光関係者のコメント】
・交通費も問題だが、宿泊費も高い。需要が集中することで、さらに高くなっている。
・連泊に対応する施設が少ない。食事の種類など、長期滞在向けメニュー整備が必要。